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オペラ「夕鶴」 指揮者・現田茂夫さん独占インタビュー~⑤グラントワの印象~

 2014年2月11日(火)に開催される、オペラ「夕鶴」。
 今回、オペラ「夕鶴」の指揮者・現田茂夫さんに独占インタビューをさせていただくことができました。その内容を5回に分けて、ご紹介させていただきます。




グラントワでの公演は、2012年2月オペラ「セビリアの理髪師」以来です。グラントワはどんな印象ですか?

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 「ドン・ジョバンニ」(2006年10月)でも行っているので、今回3回目になると思います。グラントワは、何しろ音響がいいし裏の設備もものすごく整っています。そして、我々出演者の居心地が素晴らしくいいですね。別に豪華なものを求めているわけではないんです。我々にとっては音響がいいかどうか、これが一番大事です。グラントワはホールがうまく丸くなっていて使いやすいですね。あと、ホールの方が非常に努力してくださっていつもお客さんがとても喜んでくださいますから、我々も安心して演奏できます。

 まして今回は「夕鶴」という作品です。あのグラントワで、一人でも多くの方に見ていただきたいし、我々キャストもスタッフも含めて新しい投げかけをすることになると思います。日本は今いろいろな意味で曲がり角に来ていますが、こんな時に本当にこのまま進んでいいのかという問いかけです。

 例えば、与ひょう。彼は別にお金が欲しいわけではないんです。単に小判が美しいから集めているだけ。つうは単純に与ひょうに喜んでほしいと思って自分の羽で機を織っています。運ずと惣どは、ごく一般的な人間ですが、ある日「町で売れるぞ」と言って与ひょうをけしかけます。すると、与ひょうは二人に言われるままにそれを町に売りに行き、そして売れたわけです。すると兄貴分が「これなら都に持っていったら千両で売れるぞ」と言い出す。この成り行きは誰しもが持っている、もしかしたら資本主義の典型と言える感情かもしれません。この話には、けして悪人が登場するわけではないんですよ。

 与ひょうの一番の長所は相手の感情がよくわかるところです。それは、人に対しても動物に対してもそう。たまたま田んぼで矢を射られて痛がっていたつるを見つけると「痛かろうなぁ」と言って、矢を抜いてあげます。つるは一度山に帰りますが、やがて恩返しをしたいと思って人間に姿を変え、今度は奥さんとして奉公に来ます。そして、単純に与ひょうを喜ばせたいと思いから機を織り始めます。「人が喜んでくれると自分もうれしい」という、もしかしたら人間の究極の喜びを感じているわけです。ところが、それが段々と「もっと織れ」「あなたが言うんなら織ってあげるわ」というようになっていく―。でも、最後に織ってあげて「もうこれ以上織れないから山に帰るわ」とつうが言ったときでさえ、与ひょうには機を織っていたつうが実はつるだったのではないかという意識はないんですよ。我々常識人が考えると、つうはつるだと見た側は何となくそれらがイコールだろうと感じてしまうんですが、与ひょうにとっては本当に最後の最後までつうとつるは別物なんです。考え出すと、分からないのが普通なのかもしれないとも思うんですよ。オペラをやっているとだんだんその辺が不思議になってきて「もしかしたら与ひょうの視点が正しかったのかもしれない」と思うようになる瞬間があるんです。自由に、どう捉えていただいてもいいと思います。



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オペラ「夕鶴」 指揮者・現田茂夫さん独占インタビュー~④指揮に期待されているものとは?~

 2014年2月11日(火)に開催される、オペラ「夕鶴」。
 今回、オペラ「夕鶴」の指揮者・現田茂夫さんに独占インタビューすることができました。その内容を5回に分けて、ご紹介させていただきます。




オペラを制作する上で、指揮者に期待されているものは何だとお考えですか?

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 團先生がこの作品を中心になって指揮されていたころ、僕自身は学生の身で、アシスタントとして團先生についていました。もう30年も前の話です。先生がよくおっしゃっていたのは「作曲家團伊玖磨は作曲家團伊玖磨、指揮者團伊玖磨は指揮者團伊玖磨」という言葉です。例えば、演奏する楽譜はご自身で書かれたものであっても、楽譜に書いていないこと、例えば「ゆっくりする」とか「大きくする」とか、経験としてこうした方がいいと思われたところはそのようにしていろいろ変更なさっていました。変更はしているが、印刷された楽譜には書かれない・・・。ぼくはお聞きしたことがあるんです。「ここは楽譜には書かれていないですけどゆっくりした方がいいんですよね?」すると、「現田さんがおやりになるときには現田さんがお考えなさい。ぼくは今指揮者としてゆっくりした方がいいと思ったのでゆっくりしたんです。作曲家として作曲したときにはそうは思わなかったので書かなかったのです」というようなニュアンスでおっしゃったんですね。それは良くわかるんです。絵を描いても飾ってみたら気に入らなかったから手を入れる、とかありますよね。そのように、実際にオペラ「夕鶴」を團先生が指揮された状況というのは今でもよく覚えています。ですから、それは踏襲していきます。

 僕自身、團先生以外にも多くのマエストロのオペラをアシストしてきましたし、僕が一番よく指揮しているオペラは「夕鶴」かもしれません。しかしながら、指揮しているうちに、なぜこう書いているのか、書いているのにどうして團先生がああいう仕方をされたのか疑問に思ったり発見したりしたことがたくさんあるんです。楽譜というのはそこが面白くて、数式と違ってなかなか答えが出ない、というか答えがないんですね。単純に言うと、「強く」といってもどれくらい「強く」なのか、「速く」といってもどれくらい「速く」なのかは人それぞれで、みんな感じ方・伝わり方がそれぞれでしょう。そうした種々雑多なものが集まって1つの塊としてお客様にアピールできるものが出来てくるわけです。

 たとえば今回のオペラではもちろんつうが主役なのですが、作品の中でも与ひょうや脇役の存在で主役が光る部分、オーケストラで光る部分というものがあって、その見極めが指揮者の大きな役割だと思っています。

 具体的に言うと、我々オーケストラはオーケストラピットに隠れているわけですが、その中で舞台全体が見える場所にいるのは僕しかいません。演奏者には舞台上あるいは舞台全体は見えませんから。舞台上の役者達はお客さんを見ながら動くのでまわりの照明さんや大道具さんは見えていません。ですから、お客さんと同じ立場でありながらお客さんを先導していく立場として舞台を制御できる人間は、指揮者以外にはいないんですよ。そういう意味で、お客さんに観ていただく状態が本当にこれで大丈夫かどうかを最終判断することは僕に委ねられています。指揮者というのは、オペラに関わるすべてのスタッフの動向をコントロールしながら、舞台上が一体となったものをお客様に届けるという大事な立場にあるのではないかと、つくづくそう思っています。



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オペラ「夕鶴」 指揮者・現田茂夫さん独占インタビュー~③作品への思い~

 2014年2月11日(火)に開催される、オペラ「夕鶴」。
 今回、オペラ「夕鶴」の指揮者・現田茂夫さんに独占インタビューすることができました。その内容を5回に分けて、ご紹介させていただきます。




現田さんご自身の、この作品への思い・抱負といったものがありますか?

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 オペラは総合芸術と言われます。今回の作品は、舞台上にはつう・与ひょう・運ず・惣どの、大人4人と子ども10人くらいがいるだけで、登場人物はけして多いオペラではありません。ですが、ニューヨークでも活躍の千住博さんに舞台を作っていただいて、それを歌舞伎の市川右近さんが演出されます。ですから僕自身、日本の伝統芸能である歌舞伎に期待しています。「型にはまる」「型にはめる」もしくは「型やぶり」といった言葉がありますが、日本のオペラで日本のフォームをどう捉えていくか、といったところも楽しみです。

 まだ稽古は始まっていません(*1)。ですから、皆が「千住さんはどうするんだろう?」「右近さんはどうするんだろう?」とワクワクしています。実は、森先生と佐藤しのぶの間では衣裳の詰めに入る作業段階に入っていて、仮縫いなどをしています。二人のおつきあいは大変長いですからね。今回の作品を精魂込めて本当に熱心にやっていらっしゃるのは森先生かもしれませんよ。森先生にとっては故郷に錦を飾る作品にもなりますから、以前の「森英恵」展(*2)と同等の、クオリティの高い衣裳を皆さんに楽しんでいただけるのではないかと思っています。僕もデッサンだけは見ているのですが、本物ができあがるのが楽しみです。

*1:この取材は2013年7月14日に行われました。
*2:「森 英恵 手で創る-東京-パリ-島根」(平成19年4月20日~6月11日)島根県立石見美術館






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オペラ「夕鶴」 指揮者・現田茂夫さん独占インタビュー~②初心者の方へ~

 2014年2月11日(火)に開催される、オペラ「夕鶴」。
 今回、オペラ「夕鶴」の指揮者・現田茂夫さんに独占インタビューすることができました。その内容を5回に分けて、ご紹介させていただきます。




オペラを見たことがないのですが、楽しむにはどうしたらよいでしょう?

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 何も下準備は必要ないんですね。そのまま来ていただければ、何らかの感慨を得て帰っていただけると思います。もちろん何らかの思い入れがあっても楽しんでいただけますよ。

 オペラというのは面白いものでして、飛躍するようですが「ゴルフ場」を例に挙げましょうか。そこにはトッププロはもちろん、アマチュアも、女性も、老人も使える、いろんなティーグランドがありますよね。どこのゴルフ場も老若男女誰でもが楽しめるようになっています。それと同じようなもので、深く勉強している方が見ても、あるいは全くの素人や子どもが見ても、何らかの気持ちが動くオペラを創る自信があります。

 ですから、時間があったら原作を読んでいただいても構わないし、DVDやCDを見るのも1つの手だし、楽譜を見ても良いと思います。ただ、どんな方も同じように楽しめますから、その人に応じて受け取っていただければ良いと思います。

 演劇もそうですが、我々の演奏もオペラも、何か答えを求めて演奏するわけではありません。もしかしたら我々の方から何らかの問いかけはするかもしれませんが、その答えはお客様それぞれが心にしまって、これから先生きていく中で何らかの1つの小さなアクセサリー、あるいは大きな刺繍にでもなっていけばいいと思っています。



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